英語多読活動(日本語多読活動)

carry-extensivereading2007年(平成19年度)から英語の多読活動に取り組んできました。2015年からは教職大学院に勤務をすることになったため、自分で直接、児童・生徒・学生に多読実践を行うことはなくなりましたが、短期大学に勤務している妻といっしょに共同研究をしています。
また、2016年度から科研費をいただき、日本語多読の実践研究も行ってきました。

2013年から2014年までは、附属高等学校で一室英語教育用の部屋をいただき、その部屋の書棚に本を収納することができましたが、2007年から2009年まで、附属名古屋中学校で実践をしていたときには、右のようなワイヤーラックに多読用図書その他を載せ、教室まで本を運んでいました。工夫次第で多読活動は、どこでも、どのような状態でも、行うことは可能です。
2016年度から始めた日本語多読では、愛知県内の小学校3校に協力していただき、取り出し教室に本棚を設置し、400冊以上の日本語絵本をいつでも読むことができるようにしました。

以下は、これまでの多読関連のまとめ(一部)です。
並べて書いてみると同じようなテーマが多くなっていますが、英語多読の場合、主として授業内の10分(中学・高校)及び20分前後(短大・大学)の時間を使い、数ヶ月~1年間にわたって継続的に多読活動に取り組んだ成果をまとめています。そして、その成果を、中学生、高校生、短大生別にまとめ、どの年齢であっても成果がでるかどうか、成果に違いがあるかどうかを精査しています。日本語多読については、取り出し授業内における5~10分の多読活動が、児童に与える影響等について調査、分析しました。

【科研】

 日本語多読指導が日本語指導を必要とする児童生徒に与える影響に関する実証研究
(基盤研究(C) 研究課題番号:16K02810)

2016年度~2018年度
研究代表者

 多読活動における,読書量及び本の難易度と統語処理速度及び文脈処理速度との相関研究
(奨励研究 研究課題番号:15H00131)
※転勤により大学教員となったため、奨励研究の資格無しとなり辞退。

 2015年度
研究代表者

 多読活動における,本の難易度と高校生のWriting能力との相関研究
(奨励研究 研究課題番号:26908039)
2014年度
研究代表者
 理解可能な英語の本を用いた多読と高校生のWriting能力との相関研究
(奨励研究 研究課題番号:25908043)

2013年度
研究代表者

 多読指導が単語認知処理と統語解析処理の自動化に及ぼす影響
(基盤研究(C) 研究課題番号:22520591)
2010年度~2012年度
代表者:野呂忠司
研究協力者として一部参加
 多読指導が英語力向上と英語学習の動機づけに及ぼす影響:中・高・大学生への実証研究
(基盤研究(C) 研究課題番号:19520523)

2007年度~2009年度
代表者:野呂忠司
研究協力者として参加

【論文・書籍・口頭発表等】

外国人児童に対する取り出し授業内での
10分間多読の実践
日本語教育174号掲載予定(実践報告)

 外国人児童に対して継続的な日本語指導を行うことを目的として、取り出し授業内における10分間多読を行うことを考えた。
 第二言語の多読実践については英語教育においてその例が多く見られるが、日本語による小学生を対象とした実践例はほとんど見当たらなかった。そこで,Matsui & Noro (2010)が英語多読の際に行っていた授業内10分間多読を参考にし、取り出し授業内における多読の実践デザインを考え、県内の三つの小学校にて日本語多読の実践を行った。
 担当教員の支援方法は様々であったが、多読活動の時間を確保するためには、取り出し授業における継続的な日本語指導の必要性について在籍学級担任と相互理解を図り、教科補充に関する課題を調整する必要性があることが分かった。(2017年~2019年実施。2019年12月発表予定)

授業内10分間多読の実践と担当教員の役割について 日本語教育学会2018年秋季大会 交流ひろば発表  小学校における、外国人児童に対する10分間多読の実践方法と、その実践に携わる担当教員の詳細な役割について発表した。参観者と日本語多読実践に関して議論をしたり、互いの実践方法について情報交換を行ったりした。(代表:松井千代。2017年~2018年実施。2018年11月発表)
外国人児童に対する
授業外・授業内多読指導の実践事例
日本語教育学会2017年度第10回支部集会(関西支部)
ポスター発表
 「小学校における、外国人児童に対する授業外・授業内多読実践の実践デザイン」及び「多読実践を通した、外国人児童の日本語を読むことに対する変化」について報告することを目的とした。
 小学校2年生から5年生までの計7名について、週1~2回の授業外多読(20分)及び授業内多読(5~10分)に取り組ませたところ、授業者による行動観察及び感想用紙の記述内容から、日本語絵本を読むことに対する抵抗感が軽減し絵本を読むことに対する動機づけが高まった様子が見られた。(2017年実施。2018年3月発表)
保育系短期大学生に対する英語多読-読解力と情意面への影響及び読みの傾向- 岡崎女子大学・岡崎女子短期大学研究紀要第50号, pp.67-76 松井・松井(2016)同様の実践デザインを用い、短期大学1年生の情意面と読解能力の変容について調査した。その結果、情意面については不安感の軽減と、読書量に従い英語に対する有能感が高まる様子を確認することができたが、読解力、読解速度、読解効率については変化が認められなかった。しかし、多くの先行研究の結果と異なる読解速度の低下について調査したところ、保育系短期大学生は多読中に読み聞かせを意識した読みを行っている可能性があることが分かった。(代表:松井千代。2016年実施。2017年3月発表)
短期大学生に対する英語の授業内多読-英語を読むことに対する情意面への影響- 岡崎女子大学・岡崎女子短期大学研究紀要第49号, pp.57-64 保育系学部の短期大学1年生に対して、毎授業10~20分、半期計13回の多読実践を行った。その結果、英語を読むことに対する学生の不安感が軽減される様子と、読書量に従って英語を読むことに対する自身が高まる様子を確認することができた。(代表:松井千代。2015年実施。2016年3月発表)
附属高校による10分間読み-読解力と動機づけの観点からの考察- 愛知教育大学附属高校研究紀要
第42号, pp.103-111
高校1年生に対して、週2回10分間のSSRを行った。7ヶ月実践した後、SSR実施群と未実施群との間の、読解力及びリーディングに対する動機づけに関する違いを調査した。その結果、読解力に有意な差は見られなかった。しかし、SSR実施群では、未実施群に比べてリーディングに対する不安感が少ないという結果が得られた。(2014年実施。2015年3月発表)
10分間多読指導が英語力向上と英語学習の動機づけに及ぼす影響 全国英語教育学会第40回研究大会記念特別誌 英語教育学の今 -理論と実践の統合-, pp.404-406 上記までの実践のまとめ。週1回授業開始時の10分間に行われる多読指導が、英語力向上と英語学習の動機づけに及ぼす影響についてまとめた。10分間多読は読解力、読解速度,読解効率を高め、単語認知の自動化に貢献することが分かった。また、10分間多読が英語を読むことに対する内発的動機を高める様子も見られた。(2014年8月発表)
第二言語の多読が第二言語によるライティングに与える影響について-先行研究のまとめと今後の課題

第2言語習得研究と英語教育の実践研究-山岡俊比古先生追悼論文集-
(開隆堂)

多読がライティング能力に与える影響について先行研究をまとめた。多読は、語彙数を増やし、正確な表現で内容豊かなライティングを行わせる助けとなるが、より簡単で稚拙な表現を用いさせてしまう可能性も含んでいることが分かった。(2014年3月発表)
10分間多読がL2
Writingに与える影響:経過報告
愛知教育大学附属高校研究紀要
第41号, pp.53-56

高校1年生を対象に5ヶ月間SSRを行い、実践の前後に英語で書かせた「説明文」の比較を行ったところ、難易度の高い本を読んでいた生徒の作文の、1 T-unitの平均語数が増えていたことが分かった。 ※1年間の実践のまとめは、科研報告書に記載。(2013年実施。2014年3月発表)

附属学校における10分間多読の実践 愛知教育大学附属高校研究紀要
第40号, pp.93-97
言語インプット量を補うための10分間多読を、高校3年生に対して行った。1年間の実践で1万語以上を読んだ生徒が7割強であった。また、英語で読むことに対する動機づけについて、多読を行わなかった学級と比較したところ、多読を行った学級では不安感を抱かず、内的動機から英語を読もうとする様子が見られた。(2012年実施。2013年3月発表)
中学校における10分間多読の効果
-読書量と語彙処理の速度の観点から-
日本教科教育学会第37回全国大会(沖縄大会)口頭発表 中学3年生を対象とし、週1回10分間のSSRを1年間行った際、読書量によって語彙処理の速度の向上に違いが見られるかどうかを調査した。その結果、読書量が多い群と少ない群との間で、「プライム語:動詞,ターゲット語:名詞」のテストにおいて交互作用に有意傾向が見られた。読書量が多くなるに従い、動詞+名詞のチャンクを処理する速度が向上すると考えられる。(2010年実施。2011年11月発表)
「中学校での10分間読み」
「中学校における絵本を用いた読み聞かせの指導」
英語リーディング指導ハンドブック
(大修館書店)
リーディング指導の実践を基礎知識とともに解説し、理論研究と統合しようとした本の中で、中学校における多読実践方法と効果、読み聞かせの実践方法について解説。
The Effects of 10-Minute
Sustained Silent Reading on
Junior High
School EFL
Learners’
Reading Fluency and Motivation
Annual Review of English Language Education in
Japan. Volume 21, pp.71-80
中学3年生に対して、週1回授業開始時の10分間にSSRを1年間実施。SSR実施群とSSR未実施群とを比較した結果、SSRは読解速度と読解効率を向上させる効果があるという結論を得た。また、SSR実施群は内発的動機づけによって、未実施群は外発的動機づけによって、それぞれ英語を読んでいるという結論を得た。(共著者 Tadashi NORO。2008年実施。2010年3月発表)
読み聞かせ指導と多読活動
-10分間リーディングの効果-
名古屋市中学校英語教育研究会
研究の歩み第37号,
pp.19-22
上記の研究の報告に加え、10分間多読の準備として中学1年生で行う「読み聞かせ活動」について、その手順を示した。さらに、多読のための資料確保方法について紹介した。(2009年2月発表)
中学における10分間読みの効果-読解力と動機づけの観点から- 中部地区英語教育学会第38号, pp.15-22

中学3年生に対して、週1回10分間のSustained Silent Reading(以下SSR)を3ヶ月間実施。多量読書群は少量読書群よりも読解速度と読解効率の向上に有意な差を示した。また、両群とも英語を読むことに対する不安感が軽減し、内的動機の高まりも見られた。(2007年実施。2009年1月発表)